・日本海側、多雪地、寒冷地における自然農の稲作り

 富山県富山市 石黒 完二 自然農で30年(自給型)

 

 当地は岐阜県境に近い山間地、渓流沿いの田畑、積雪は2~2.5m。

 遅霜は5月半ば。田畑が出てくるのは4月10日以降。ソメイヨシノ(植樹)開花4月20日すぎ。

 日本海側、多雪地、寒冷地の自然農は、気候による制約(温度、栽培可能期間、自然界のいのちのめぐり方)が多くあるように思います。平野部から山間地まで3ヶ所の学びの場での実践や全国各地の見学をとおして、感じています。

 

 自然農の理念を尊重しつつ、いろいろと実験(試行錯誤)しています。

石黒さんの田んぼ(2014年9月 第23回 妙なる畑の会 全国実践者の集いにて) photo by 自然農・いのちのことわり
石黒さんの田んぼ(2014年9月 第23回 妙なる畑の会 全国実践者の集いにて) photo by 自然農・いのちのことわり

 

・品種

極早生種~早生種 フクヒカリ(主力品種)、アキタコマチ、チヨニシキ、ミルキークイーン、コシヒカリ他

 

・種モミ

目ざまし:積算温度100℃

芽出し:はと胸、やや芽切った状態にする。(発砲スチロールの箱に水を入れて、日なたに出してあたためる。毎日水をかえて、夜は家の中へ)

 

・ふく土

山土をふるって用意している(田んぼの土を使うと、苗床あとが低くなるので)

 

・種まき

4/末~5/5  播種密度1.2m×2mに250㏄~300㏄

 

・苗床

春、種をまく直前に作る(秋、作っていたが、雪の下でネズミが集まるのでやめる)

播種後、ふく土をして、切りわらを少なめにかける。(わらが多いと地温が上がらず芽が出てこない。水分と地温を考えて調節する)(折衷苗代では薫炭を用いている)1回目の草取りのときにわらをあらかた取りのぞく。(鳥よけの為、目のこまかい白いネットをベタがけにしている。芽が3~5cmになれば、取って鳥よけテープに換える)

 

・補い

苗床作りのときはやっていない。

芽が出て3~5cm、1回目の除草後、油かす10m×1.2mに2㎏くらいやり水をやる。そのあと1週間から10日あとにもう1回やる。(田植えのときに苗が育っているように調節する)補いはヌカ、油カス、半々いずれでもよいと思います。量もそれぞれ応じてあげればよいと思います。

 

・田植え

6/5~6/10に始める。終わり6/20頃。

35cm×20cm 2本植(大きいのは1本植)

 

・水やり

時々、水やりをしています。(雨が降ればやらないが、苗の生長を見ながら調節する)

 

・おけら取り

苗床に水を張って1時間くらい番をして取っています。(おけらは、水を張って30分くらいしてから出てくることもあるので)何年もやっていますが、最近はあまりいません。

 

・苗代

畑苗代は田んぼでなくても畑でできるので、一部畑で作っている。ここへ越して来るまえは愛知の山間部で、ビニール畑苗代をやっていました。この方法で、この地でも何回か作っていますが、温度が上がって苗の成長が早いです。ビニールの換わりに油紙が使われていた時代もあったようです。いずれにしても生育期間が短い地方では、苗の生育が大事だと思います。

 

・田んぼ

田の地力がある場合は、苗が小さくても育ちますが、地力がない場合は育ちにくい。稲が草に負けて育たなかった場合は、地力があると思われますが、草取りがまにあっていて収量がない場合は、地力がない場合が考えられます、私の場合がそうでしたが、持ち込まず、持ち出さずの言葉にとらわれて、4~5年収量がひじょうに少なかった。そこで田んぼに、あぜ草や落葉を入れてみたところ少し育つようになりました。今は、田植えまえと稲刈後に刈った草を入れています。

 

変化、変化の自然界。言葉にとらわれず対応していきたいと考えています。

 

・箱苗

何回かやってみましたが、芽は出ますが養分供給が課題。よっぽど肥えてないと大きくならないと思います。

(2020/4/4 富山県 石黒完二さん投稿)

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