問題:苗床(苗代)は、水無しの畑苗代(=岡苗代)にすると、健康に強く育ち、田植え後も他の草に対して逞しくて初期の生育が良く、後々の作業にも好都合となる。
ただし、オケラ、野ネズミ、モグラ、鳥等の害を受けることがあるので対策が必要。
解決策:
- 野ネズミ、モグラに対しては苗代の周囲に溝を掘ると、防ぐことができる。
- 鳥(スズメ)に対しては、細い鳥除けの糸を張る。それでも及ばない場合は、ネットを全面に張る。近くに竹藪のあるところは、鳥の被害が大きいので、必ずネットが必要になるのではないか。
- 小動物(犬・猫等)に対しては、枯れた枝木を置いて発芽を待つ。発芽後10センチ近くに育つまで必要。
(2015/4/5 奈良県 川口由一さん投稿)
【水苗代と岡苗代】
昔、自然農に切り替える以前に作られていた水苗代とはどんなものだったのか、川口由一さんにお話を伺いました。
「まず、苗床に水を入れて耕し練ってから水を出し、高低差の出ないように平らにし、再び水を入れてから種を蒔きます。発芽後には水を出し、根がむき出しになっているので籾殻の燻炭を被せて(土を被せると酸素不足になるため)根を被いますが、この作業は1日で仕上げます。そして再び水を入れ、それから約2か月間、田植えまで水を張り続けます。
水苗代は、約2か月間水の管理が必要なので、その間の水の出し入れを自由に出来る場所でないと困難です。また、苗の姿は大きくても茎が軟弱でひ弱に育っているので、田植えの後、他の草に対する逞しさが足りず、草の手入れが大変になります。
岡苗代にしたほうが苗は丈夫に育つということは、昔から農家の皆さんも知っておられたのです。でも、鳥やモグラ等の被害を受けやすいこともあって、僕の周囲の方々はみんな水苗代でした」
(2015/6/10 奈良県 川口由一さん談)
編集記:オケラ対策については「オケラによる苗床の被害」にまとめていますので、参考にしてください。(2015/7/23)
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