第22回 妙なる畑の会 全国実践者の集い -事例集-
16.自然農で年数を重ねるうちに起こる問題
《田んぼの場合》
【事例16-1】5年目位より稲の倒伏が目立ちはじめ、分けつも少なくなった。亡骸の層も3センチほどできており、川口さんの事例同様、田植え時に深植えする事により対応したところ、倒伏は起きなくなった。ただし、分けつ数は劇的な改善は無く、草に負け気味な現状もあって、十分な効果を得ていない。(静岡県 Tさん、約10年目)
【事例16-2】現在は土地が肥えてきて、養分過多が問題となってきています。幼穂形成期以後、水管理をどうするかが課題です。昨年はワラ出来は反当4石取り(稲架の長さでわかります。草の管理ができています)、しかしながら実質収量は反当2石4斗でかなりの減収となりました。登熟歩合が悪いのです。昨年は8月以後、水をかなり切っていきましたが、乳熟期にカメムシの被害が目立ち、水の管理からきているのかどうか、今年は詳しく観察したいと思っています。ただ水を切っていったので、稲の熟色は良かったと思います。ここしばらく、小米、しいなが多くなっていて残念です。肥えた土地をいかに稔りにつなげるのかが大きな課題となっています。いろいろ考えつつ今年の稲作にまた向かいます。(徳島県 Oさん)
【事例16-3】初期生育を抑えるため、水の調整を少な目にする、干し気味にすることを心がけていますが、離れている場所なので、十分にはできていません。ジャンボタニシがいるため、亡骸の層は、そんなに多くないので、川口さんの所のように田植えの時が大変(?)ではないです。わら、もみがら等全部返すのではなく、控え目にしています。(福岡県 Mさん、約19年目)
《畑の場合》
【事例16-4】一部の畑(約10年目)において、6年目くらいから作物の生育が悪くなる現象が出始めました。特に水を好む作物から出始め、その後は比較的乾燥に強いエンドウ、ラッカセイ、トウモロコシ、カボチャなども以前と比べると勢いが弱まって来ました。原因は傾斜地であるにもかかわらず、畝をたててしまった為、乾燥が進み、本来ふえる営みであるはずの生命活動が減退してしまったと考えています。このため、ネギやイモ類を溝部分に植え、土寄せを兼ねて畝を平畝に近い状態に改造する試みを行っています。溝に植えた作物の生育は順調です。(静岡県 Tさん、約10年目)